ユウ

AIにアプリを作ってもらえると聞きました。でも、何て頼めばいいんでしょう。「〇〇アプリを作って」でいいんですか?

おんじ

私もプログラミングはできませんが、いくつか作ってもらいました。最初に伝えるのは、アプリの名前ではなく、今なにに困っているかです。

ユウ

困っていることなら言えそうです。でも、頭の中がまとまっていなくて、うまく説明できる気がしません。

おんじ

まとまっていなくて大丈夫です。整理は、AIのほうがやってくれますから。

ユウ

それと、AIが出してきたやり方が良いのかどうか、私には判断できないと思います。

おんじ

技術の良し悪しまで判断しなくて大丈夫です。分からないところは聞き返して、何を大事にしたいかを伝えればいいんです。何がしたいかを知っているのは、ユウさんだけですからね。

AIにアプリを作ってもらえるとしても、プログラミングができないと、最初に何を伝えればいいのか迷います。どんなアプリにするか、まだ決まっていないことも多いはずです。

最初にAIへ伝えるのは、作りたいアプリの形ではなく、今困っていることと、どうなればうれしいかです。作り方はAIに案を出してもらい、気になるところを聞き返しながら決めていきます。

私も、プログラミングはできないまま始めました。この進め方で作ってもらったのが、LINEで届く予定と、メールで届く予約を、Googleカレンダーに入れる仕組みです。この2つを例に、作り始める前の相談の仕方を紹介します。


この記事でわかること

  • 「〇〇アプリを作って」と頼む前に、AIに何を伝えればいいか
  • 頭の中がまとまっていなくても、そのままAIに伝えていいのか
  • AIが出してきたやり方を、どう選べばいいか

最初に伝えるのは「何を作るか」より「何に困っているか」

AIに最初に伝えるのは、作ってほしいものではなく、やりたいことと困りごと、その背景です。作り方は、AIのほうがずっとよく知っています。でも、自分が何をしたいのかは、自分にしか言えません。

LINEの仕組みをClaudeに作ってもらったときも、話の出発点は困りごとでした。子どもの習い事の予定がLINEで届くたびに、私はそれを手でGoogleカレンダーへ入れ直していました。後回しにすると、そのまま入れ忘れてしまいます。

このとき大事だったのは、次の2つの希望です。

  • LINEで届く予定を、Googleカレンダーで見たい
  • その予定を、手間をかけずにGoogleカレンダーへ登録したい

予定はLINEの中で管理するのではなく、ほかの予定と同じGoogleカレンダーにまとめたいと考えていました。しかも、手で入れ直す作業はやめたかったので、登録に手間がかからないことも欠かせません。

どちらも、AIがどれだけ賢くても、私が伝えなければ分かりません。完成した仕組みの使い方は、LINEの予定をGoogleカレンダーに連携した記事 にまとめています。

伝えることに迷ったら、次の3つから始めると言葉にしやすくなります。

  • 今していること:どんな作業を、どうやっているか
  • 困っていること:どこが面倒で、何が起きているか
  • どうなればうれしいか:何ができるようになりたいか。それはなぜか

アプリの種類や、使う技術を自分で決めておく必要はありません。そこは、次の相談でAIに出してもらいます。

まとまっていなくていい。まずはモヤモヤを相談する

最初から、人に指示を出すようにきちんと伝える必要はありません。悩みごとを相談するつもりで、頭の中のモヤモヤをそのままAIに伝えるところから始めて大丈夫です。私も、自分でまとめきれていない考えを、そのまま渡しています。

仕事でも、人に話を聞いてもらううちに、自分の考えが整理できることがあります。相手から質問されて答えているうちに、本当にやりたかったことに気づくこともあるはずです。

AIは、こうした「壁打ち」の相手、つまり考えを整理するための相手に向いています。人は、一度に多くの情報を渡されると混乱することがあります。AIは、まとまっていない内容でも受け止めて、こちらが整理できていない部分まで含めてまとめ直してくれます。足りないところを、質問で確かめてくれることもあります。

AIと壁打ちをしながら、自分が本当に求めていることを探っていく。これが最初のステップです。

AIにアプリを作ってもらう前の壁打ちのイメージ。まとまっていない困りごとをAIがまとめ直し、質問しながら「Googleカレンダーで見たい」「手間なく登録したい」という2つの希望が見えてくる図

だから、きれいな箇条書きに仕上げてから伝える必要はありません。やり取りの途中で思い出したことも、あとから足せば十分です。「それと、毎朝スマホで確認したいんです」のように、一言付け加えるだけで伝わります。

作り方はAIに出してもらい、気になるところを聞き返す

やりたいことを伝えたら、作り方はAIに案を出してもらいます。このとき私は、案ごとにメリットとデメリットも挙げてもらいます。

ただ、AIが挙げるデメリットが、自分にとってもデメリットだとは限りません。たとえば「プログラムを作る作業が多い」という点は、デメリットに挙がることがあります。でも、その作業をするのはAIです。私が手を動かすわけではないので、私にはあまり気になりません。

そういうときは、「それは私にとってはデメリットではない」と返します。こうして、自分にとって本当のメリットとデメリットに絞っていきます。そのうえで、どの案が良いかをAIとやり取りしながら練り上げていきます。後で紹介するメールの例が、まさにこれでした。

出てきた案は、そのまま受け入れなくてかまいません。ほかにも、たとえば次のような言葉を返します。

  • 「こういう方法はない?」
  • 「この方法のここが面倒そうだけど、解消する方法はない?」

意味の分からない言葉が出てきたら、「その言葉を、分かる言葉で説明して」と聞き返せば十分です。

ここでしているのは、「AIへの指示の書き方」を教わることではありません。作り方そのものを、AIと一緒に決めています。指示の書き方をAIに聞く方法は、資産管理の記事 で紹介しました。今回はその一歩手前で、どの方法で作るかを相談する段階の話です。

何を大事にしたいかを伝えたら、AIのおすすめが変わった

自分が何を大事にしているかを伝えると、AIがすすめる方法そのものが変わります。それがいちばんはっきり分かったのが、メールで届く予約をGoogleカレンダーに入れる仕組みでした。

これは、予約のメールを転送すると、AIが中身を読み取って、Googleカレンダーに自動で登録する仕組みです。相談していた相手は、Codexというプログラムを書くのが得意なAIでした。

動かし始めてから、Googleとのつながりが7日で切れてしまう問題に向き合うことになりました。Googleに正式に公開していない、自分で試すための仕組みは、「テスト中」の扱いになります。この扱いだと、つながりの期限が7日になるためです。切れるたびに、自分でつなぎ直さなければなりません。

最初は、今の仕組みのまま直す方向(A案)で進めていました。ところが、つながりが切れないようにするには、「テスト中」から正式な公開に切り替える必要がありました。そのためには、ホームページのような説明用のページを作り、インターネット上に公開しなければならないと分かりました。

そこで、ほかに方法はないかをAIに考えてもらいました。出てきたのが、Googleが用意している仕組みの中に作り直すB案です。B案なら、説明用のページは要りません。

それでもAIは、A案をすすめてきました。B案は今の仕組みの土台を使えず、AIの説明では「まっさらな状態から作り直す」ことになるので、手間がかかるという理由です。

比べたこと A案:今の仕組みのまま直す B案:Googleの仕組みの中に作り直す
説明用のページ 作って公開する必要がある 要らない
作り直す手間 少ない 多い(大きく作り直す)
AIの最初の判断 おすすめ 手間がかかるので、おすすめしない

そこで私は、こう伝えました。

作り直す手間はAIにやってもらうため、あまり気になりません。それよりも、仕組みのシンプルさや管理のしやすさ、これ以上の仕組みを増やしていくことの方に抵抗があります。シンプルであるべき姿を重視したいです。

AIが挙げたB案のデメリットは、「作り直す手間」でした。前の章で書いたとおり、作業をするのはAIなので、私にとってはデメリットではありません。それよりも、説明用のページを公開して、管理するものが一つ増えるほうが気になりました。

すると、AIのおすすめはB案に変わりました。今は、その形で動いています。

「作り直す手間は気にしない。管理のしやすさを大事にしたい」と伝えたら、AIのおすすめがA案(今の仕組みのまま直す)からB案(Googleの仕組みの中に作り直す)に変わったことを示す比較図

A案が悪かったわけではありません。作業の少なさを優先するなら、筋の通った案でした。ただ、私が作り直しの手間より、仕組みを増やさないことを大事にしているとは、AIには分かりません。それを言葉にしたことで、私に合う案が出てきました。

相談文の例|LINEの困りごとをAIに伝える書き出し

相談の文章は、うまく書こうとしなくて大丈夫です。相談は、ChatGPTやClaudeなど、普段使っているチャット型のAIで始められます。案を出してもらう段階なら、どのAIでも同じ進め方が使えます。

LINEの件を例にすると、たとえばこんな書き出しになります。

子どもの習い事の予定が、LINEで月に何回か届きます。そのたびに手でGoogleカレンダーへ入れ直していますが、後回しにすると入れ忘れてしまいます。
予定はGoogleカレンダーで一か所にまとめて管理しているので、習い事の予定もそこで見たいです。
私はプログラミングができません。まだ作らずに、どんな方法があるか案を出してください。分からないことがあれば、先に質問してください。

1行目が今していることと困っていること、2行目がどうなればうれしいかと、その理由です。

3行目には、AIへのお願いを書きます。「プログラミングができない」と伝えておくと、自分で手を動かす部分が少ない案を考えてもらいやすくなります。「まだ作らずに」と書けば、いきなり作り始めず、方法の案から出してくれます。

最後の「先に質問してください」も役に立ちます。自分では気づいていなかった条件を、AIのほうから聞いてくれることがあるからです。

案が返ってきたら、気になるところを一つ聞き返します。毎日の操作が増えそうなら、「この方法だと、私は毎回なにをすることになる?」と聞きます。

作ってもらうのは、選んだ方法で毎日どう使うのかを、自分の言葉で説明できるようになってからです。そのとき、選んだ方法と、これだけは守りたいこと(たとえば「管理するものを増やさない」「毎朝スマホで確認できる」など)を一緒に伝えます。

家族や仕事相手のメッセージを、そのまま貼り付ける必要はありません。「子どもの習い事の連絡」くらいの言い方で、困りごとは十分伝わります。

まとめ|まずは困りごとを一つ、AIに伝えてみる

AIにアプリを作ってもらうとき、最初に必要なのはプログラミングの知識ではありません。今困っていることと、どうなればうれしいかを、自分の言葉で伝えることです。

作り方はAIに出してもらい、面倒そうなところは聞き返します。何を大事にしたいかを伝えると、AIの案はそれに合わせて変わります。

AIにアプリを作ってもらうまでの相談の4段階(モヤモヤを相談、案とメリット・デメリット、自分の基準で絞る、選んだ方法を伝えて作ってもらう)と、人とAIの役割分担の図

身の回りの面倒な作業を一つ選んで、今のやり方と困っていることを、AIに伝えてみてください。返ってきた案に一つ聞き返すところから、相談が始まります。

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参考文献・出典

  • Using OAuth 2.0 to Access Google APIs|Google for Developers — 外部向けで「テスト中」の扱いになっている仕組みでは、Googleとのつながりを保つための鍵(更新トークン)の期限が7日になることの説明です(名前やメールアドレスだけを使う場合などの例外あり。英語)。