「子どものためにNISAを使いたいけど、ジュニアNISAはもう終わったんじゃなかったっけ?」——そう思っていた方に朗報があります。

2025年12月の税制改正大綱で、未成年向けの新しいNISA制度「こどもNISA(こども支援NISA)」の創設が正式に決定されました。2027年1月からのスタートが予定されており、かつてのジュニアNISAとは仕組みが大きく変わっています。

この記事では、新制度の概要とジュニアNISAとの違いを整理し、今すぐできる準備を確認します。

※本記事執筆時点(2026年4月)では詳細な運用ルール・対象商品の範囲は政令・省令で確定中です。内容が変更になる可能性があるため、最新情報は金融庁の公式発表をご確認ください。


そもそもジュニアNISAとは?なぜ廃止されたのか

ジュニアNISAは0〜17歳の未成年が使えるNISA制度でしたが、2023年末に廃止されました。

廃止の最大の理由は使い勝手の悪さです。ジュニアNISAでは、子どもが18歳になるまで原則として資金を引き出せない仕組みになっていました(一部例外あり)。教育費は小学校・中学校・高校など18歳より前にもかかります。「いざというときに使えないNISA」として利用が広がらず、廃止が決まりました。


こどもNISA(こども支援NISA)とは

2027年1月から始まる予定の新制度です。対象は0〜17歳の子ども名義で開設するNISA口座で、現行の新NISAとは別枠として利用できます。

制度の概要(2026年4月時点の情報)

項目こどもNISA(予定)ジュニアNISA(廃止)
対象年齢0〜17歳0〜17歳
年間投資枠60万円80万円
非課税保有限度額600万円400万円
非課税期間無期限5年(ロールオーバー可)
対象商品つみたて投資枠と同様の投資信託
債券型・公社債型も対象に拡充予定
投資信託+個別株式
引き出し制限12歳以上・子どもの同意があれば引き出し可能(予定)18歳まで原則引き出し不可
ジュニアNISAとこどもNISAの主な違い比較

左:廃止されたジュニアNISA、右:2027年スタートのこどもNISA。非課税期間・引き出し制限が大幅に改善された


ジュニアNISAと何が変わったか

変更点①:引き出し制限が大幅に緩和

旧ジュニアNISAでは18歳まで資金が縛られていましたが、こどもNISAでは12歳以上・子どもの同意があれば引き出せる仕組みに変わる予定です(詳細は省令で確定)。

これにより、中学・高校の学費や習い事など18歳より前の教育費にも対応できるようになります。「いざというときに使えない」という最大の欠点が改善される形です。

変更点②:非課税期間が「無期限」に

旧ジュニアNISAの非課税期間は5年でした。毎年ロールオーバーが必要で手間もかかりましたが、こどもNISAでは現行の新NISAと同じく非課税期間が無期限になります。

長期の積立を続けやすく、子どもが成人後もそのまま保有を続けることができます。

子どもが18歳に達すると、こどもNISA口座は子ども本人名義の新NISA口座へ移行される予定です。口座の名義はあくまで子ども本人のままで、親の口座に移るわけではありません。移行後もそのまま非課税で運用を続けられます。

変更点③:対象商品が絞られた(ただし債券型まで拡充予定)

旧ジュニアNISAは個別株式も購入できましたが、こどもNISAはつみたて投資枠と同様の投資信託のみが対象になります。長期・積立・分散に適した商品に限定されるため、ギャンブル的な使い方を防ぐ設計です。

個別株の購入を考えている方には物足りないかもしれませんが、「子どもの教育費を着実に積み立てる」という目的には十分な仕組みと言えます。

つみたて投資枠の対象商品要件も2026年度税制改正で見直し

2025年12月に公表された令和8(2026)年度税制改正大綱では、こどもNISAの新設と合わせてつみたて投資枠そのものの対象商品要件も見直しが盛り込まれました。

具体的には、指定指数に連動しない公募株式投資信託の要件が、現行の「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」へと変更される予定です。これにより、債券中心の投資信託やバランス型ファンドの一部が、新たにつみたて投資枠(およびこどもNISA)の対象に加わる見込みです。

金融庁は改正の狙いとして「リスク許容度が高くない若年層や高齢層が投資の第一歩を踏み出せるよう、債券中心・バランス型の選択肢の充実を図る」と説明しています。

子ども名義の口座でリスクを抑えた商品を選びたいという家庭にとっては、選択肢が広がるプラス材料と言えます。一方で、対象となる具体的な商品リストは2026年中に金融庁・各運用会社の登録手続きを経て確定する見通しのため、運用開始までは続報を確認しておくのが安心です。

筆者の見解:それでも株式インデックスファンドが最善

債券型・公社債型の選択肢が増えること自体は歓迎ですが、筆者はこどもNISAの運用先として株式インデックスファンドを選ぶべきだと考えています。

理由はシンプルです。長期的に最もリターンが大きいアセットクラスは株式であることが、過去の実績から示されています。こどもNISAは子どもが0歳のときに始めれば、少なくとも12〜18年以上の運用期間があります。債券を混ぜたバランスファンドは短期の値動きを抑える効果はありますが、その分リターンも落ちます。十分な時間があるなら、株式100%で複利の力を最大限活かすのが合理的です。

「子どものお金だからリスクを下げたい」という気持ちはわかりますが、長期運用においてリターンを落とすことは機会損失でもあります。株式インデックスファンドへの積立をシンプルに続けることが、子どもの将来にとっても最善の選択と考えています。


家族全員でNISAを使うと年間いくら非課税になるか

2027年以降、夫婦2人+子ども2人の4人家族を想定すると次のようになります。

誰の口座か 制度 年間投資枠
親(夫) 新NISA 360万円
親(妻) 新NISA 360万円
子ども① こどもNISA 60万円
子ども② こどもNISA 60万円
合計 840万円
家族4人でNISAを使うと年間840万円まで非課税:親2人(各360万円)+子ども2人(各60万円)の合計

2027年以降、夫婦+子ども2人の4人家族なら年間最大840万円まで非課税枠を活用できる

年840万円まで非課税で運用できる計算です。もちろん全額投資できる家庭は多くありませんが、「家族それぞれの口座を活用する」という視点が、資産形成の選択肢を広げます。

こどもNISAは「何のためか」を整理してから使う

年840万円という数字は大きく見えますが、この全額を毎年投資できる家庭は多くないでしょう。「非課税枠が増えた」という事実より、「何のためにこどもNISAを使うか」を最初に整理しておくことのほうが重要です。

教育費が目的なら、親の新NISA口座で十分です。 教育費は必要な時期(小中高・大学)に確実に引き出せることが大事で、親名義のほうが管理しやすい面もあります。

こどもNISAを使う意義が出てくるのは、主に子どもへの資産プレゼントを考えるときです。ただし、子どもに大きな財産を与えることが本当に良い結果につながるかは、慎重に考える必要があります。お金の使い方を学ばないまま資産だけを受け取ることのリスクも存在します。

こどもNISAを「子どもの老後資金の種まき」として使う

一方、こどもNISAの年間枠を1年分(60万円)だけ使うという割り切った使い方には、面白い可能性があります。

1年分の60万円を、そのまま60年間運用し続けたらどうなるか。年利7%で試算すると、60年後には約3,477万円に成長します。

60万円を年利7%で60年間運用した場合のシミュレーション:約3,477万円に成長

60万円の種まき1回で、子どもの老後資金が育つ計算になる(年利7%・60年複利)

子どもが生まれた年に60万円を投資し、「60年間触らない」と決めれば、子どもが60歳を迎える頃には老後資金として育っている計算です。

もちろん60年後も年利7%が続く保証はありません。しかし「NISA口座の運用益は非課税」「複利の力は時間が長いほど大きい」という2つの事実は変わりません。

「年間枠をいっぱい使わなければもったいない」ではなく、1年分だけ種をまいてあとは長期運用に任せる——そういう使い方もあると覚えておいてください。資産のプレゼントはほどほどにとどめ、その資産が増えていく様子を子どもと一緒に確認しながら金融教育の題材にする。それが、こどもNISAを本当に子どものためになる形で使う方法かもしれません。


2026年中に決まること・まだ未確定なこと

こどもNISAの大枠は決まりましたが、細部はまだ政令・省令で確定される予定です。

すでに決まっていること(税制改正大綱より)

  • 2027年1月スタート
  • 0〜17歳対象
  • 年間投資枠60万円
  • 非課税保有限度額600万円
  • 非課税期間は無期限
  • 対象商品はつみたて投資枠と同様の投資信託に限定(債券型・公社債型を含む方向で要件を拡充

2026年中に確定予定のこと

  • 具体的な対象商品の範囲(どの投資信託が使えるか・債券型のラインナップ)
  • 引き出し条件の詳細(12歳以上・子どもの同意の具体的な要件)
  • 口座開設の手続き・証券会社・銀行での取り扱い

制度の骨格は固まっているため、「まず口座開設の準備」だけでも進めておける状況です。


今すぐできる準備

制度の詳細確定を待ちながら、今できることを整理します。

①子ども名義のマイナンバーカードを取得しておく

NISA口座の開設にはマイナンバーが必要です。子どもの分はついつい後回しになりがちなので、今のうちに取得しておくと2027年のスタートに間に合いやすくなります。

②親自身の新NISA口座をまず整える

こどもNISAが始まる前に、まず親自身の新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)を使いこなせている状態を作るのが先決です。「親が使いこなしていない制度を子どもに使わせる」より、自分が理解してから広げる方が安心できます。

③口座を開く証券会社を絞り込んでおく

こどもNISAの口座は、証券会社や銀行で開設できる見込みです(詳細未定)。どの証券会社で管理するかを今のうちに考えておくと、2027年のスタート時に迷わずに済みます。つみたて投資枠と同じ投資信託が対象になるため、現行の新NISA口座と同じ証券会社でまとめて管理するのが手間も少なくなります。


まとめ

2027年1月スタート予定の「こどもNISA」は、廃止されたジュニアNISAの反省を活かして設計された新制度です。

主なポイントをまとめます。

  • 0〜17歳対象、年間60万円・累計600万円まで非課税投資可能
  • 非課税期間は無期限(ジュニアNISAの5年から大幅改善)
  • 12歳以上・子どもの同意があれば引き出し可能(予定)
  • 対象はつみたて投資枠と同じ投資信託(2026年度税制改正で債券型・公社債型ファンドも対象に拡充予定
  • 夫婦+子ども2人なら家族全体で年840万円まで非課税枠を活用できる
  • 教育費が目的なら親の新NISA口座で十分。こどもNISAは子どもへの資産プレゼントや老後資金の種まきとして活用するのが合理的
  • 年間枠1年分(60万円)を60年間・年利7%で運用すると約3,477万円——長期運用の複利効果は時間が長いほど大きい
  • 対象商品は株式インデックスファンドを基本に。長期・非課税運用では株式100%が最もリターンを活かせる

詳細な運用ルールは2026年中に確定予定です。今できることは「マイナンバーカードの取得」「親の新NISA口座の整備」「口座開設先の検討」の3つです。

子どもの教育費準備と長期の資産形成を両立できる制度として、スタートに備えておきましょう。


参考資料


注記: 本記事は2026年4月時点の公表情報をもとにした概要です。制度の詳細・施行内容は今後の政令・省令で確定されます。最新情報は金融庁の公式発表をご確認ください。