住宅ローンの残高をまとめて返してしまおう——そう決めて調べてみると、残高をまとめて返す「一括返済」には手数料がかかると分かりました。一部だけ返すのとどちらがいいのか迷って、手が止まる。私自身がまさにそうでした。

そもそも我が家は、借入時から住宅ローン控除が終わる10年ほどで返し切ることを目標にしていました。変動金利を選んだのも、そのつもりだったからです。家計に占める返済額を低めに設定していたおかげで、2022年ごろには完済できるだけの預金が貯まっていました。

それでも、すぐには動きませんでした。理由は2つあります。ひとつは、子育て世帯でこれから教育費が増えていくため、預金を大きく減らすことへの不安があったこと。もうひとつは、住宅ローンを返して利息を浮かせるより、そのお金を投資に回した方が「お得」だとも考えていたことです。繰り上げ返済は取り消せません。そう思って、数年のあいだ判断を保留していました。

その状態を動かしたのは、3つの理由でした。

1つ目は、リベ大の両学長が繰り返し発信している「借金なんかすんじゃねぇ」という言葉です。良い借金をするには経験と知識が要るから多くの人はしない方がいい、借金があると判断が鈍って不合理な行動をしてしまう——という趣旨で、私はこの考え方に納得していました。

この「判断が鈍る」という話には、実際に研究の裏づけがあります。お金の心配事を考えさせると、低所得の人だけ、無関係な推論テストの成績が落ちるという研究があり、著者らはその低下幅を「一晩徹夜したのと同程度、IQに換算すると13ポイント相当」と表現しています(Science, 2013。出典は記事末尾)。ただし対象は低所得層で、住宅ローンを返している世帯にそのまま当てはまる話ではありません。それでも、借金が頭のどこかを占め続けるという感覚は、私自身よく分かるものでした。

2つ目は、我が家の家計の状況です。家計の資産は投資に回さず預金で持っているのですが、その預金残高が住宅ローン残高を超えてきました。一方で住宅ローンの金利は預金金利を上回ったままです。投資に回さない方針である以上、「投資した方がお得」という保留の理由は我が家では成り立ちません。それなら返してしまった方がいい、という結論になりました。

3つ目が、利上げです。金利上昇そのものの実感は、実は薄いものでした。住宅ローンは金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わらないためです。むしろこたえたのは、リベシティに触発されて手間をかけた金利交渉で0.1%下げられたのに、その約半年後の利上げであっさり元に戻ったことでした。そのうえで返済額の内訳を見ると、金利部分だけで毎月1万円以上を払っていました。

繰り上げ返済は2025年にも一度実施していて、そのときすでに「2〜3年で完済し切る」と決めていました。一度に返し切らなかったのは、預金残高が大きく減ることへの家族の不安に配慮して、複数年に分けることにしたからです。実行の前には、預金をどこまで減らしてよいかを夫婦で十分に話し合い、本記事に書いたのと同じ観点で試算したうえで、納得して踏み切りました。今回はその続きにあたります。

完済が視界に入ってきた人ほど、こんな迷いにぶつかります。

  • 一括で返してスッキリしたいが、一括返済にかかる手数料が気になる
  • 一部だけ返すのと一括で返すのと、どちらが得なのか分からない
  • 少しでも残高が残るのが、なんとなく気持ち悪い

住宅ローンを全額繰り上げ返済するか一部にするか迷う会社員。全額返せば金利上昇の不安や金利負担が消えて気持ちが楽になる一方、繰上げ返済手数料と団信がなくなることが気になっている

私は一括返済ではなく、まとまった額だけを返す「一部繰り上げ返済」を選びました。決め手になったのは、手数料まで含めた総額の比較です。残高を残しても払う利息はわずかで、それを上回る手数料を払ってまで一括で終わらせるのは合理的ではないと判断しました。

なぜそう言えるのか。それは、金融システムに関わるSEである私が、実際に自分のりそな銀行のローンで数字を並べて確かめたからです。本記事では、その試算の中身と、あなたが自分のローンで同じ判断をするための手順を具体的に見ていきます。

なお、本記事に出てくる手数料22,000円はりそな銀行の例であり、金額や仕組みは銀行によって異なります。ご自身の借入先で必ず確認してください。特定の銀行をおすすめする記事ではありません。

そもそも繰り上げ返済をすべきか、あるいは返済せず投資に回すべきか——という手前の議論は、別記事「繰り上げ返済と投資どっち? 」で扱っています。本記事はその一歩先、「繰り上げると決めた後、全額を返すか一部だけ返すか」に絞った実例です。

この記事でわかること

  • 「一括返済」か「一部だけ返す」かを決める、たった2つの判断ポイント
  • 一括返済(全額繰上返済)に手数料がかかる仕組みと、りそな銀行での実額(22,000円)
  • 残高を残した場合の利息と、一括返済の手数料を比べて、私が一部繰り上げ返済を選んだ実例
  • 自分のローンで同じ計算をするためのチェックリスト
  • 残高が残っても気にならなくする、口座の分け方の工夫

一括返済か一部だけか——判断の前に確認すべき2つのポイント

先に言葉を整理します。残高をまとめて返してローンを終わらせることを、この記事では一括返済と呼びます。銀行の書類やサイトでは「全額繰上返済」と書かれることが多いのですが、同じ手続きです。これに対して、まとまった額だけを返して残高を残すのが一部繰り上げ返済です。

どちらにするかを決めるとき、見るべき数字は突き詰めると2つだけです。一括返済にかかる手数料と、一部だけ返した場合に、この先払うことになる利息です。

一括返済か一部繰り上げ返済かを決めるときに見るべき2つの数字の比較図。①一括返済にかかる手数料(一括返済には手数料がかかる一方、ネット経由の一部繰り上げ返済は0円。選んだ時点で確実に持ち出しになる)と、②一部だけ返した場合にこの先払う利息(残した分には完済まで利息がかかり、残高と残り期間で大きく変わる)。下部に「②の利息>①の手数料なら一括返済が得/②の利息<①の手数料なら一部繰り上げが得」という判定を示す

①一括返済にかかる手数料——ここが出発点

出発点は手数料です。多くの銀行で、一括返済には手数料がかかる一方、ネットバンキング経由の一部繰り上げ返済には手数料がかかりません。つまり一括返済を選んだ時点で、まず手数料の分だけ確実に持ち出しになります。

見落としがちなのは、同じ「繰り上げ返済」でも一部と一括で手数料が違うという点です。さらに、後述するように銀行の手数料だけでなく、保証会社に払う事務手数料が別に発生するケースもあります。「ローンを終わらせるだけならお金はかからない」と思い込まず、実額を必ず調べてください。

②一部だけ返した場合に、この先払う利息

では、一部だけ返して残高を残すとどうなるか。残した分には、完済までのあいだ利息を払い続けることになります。この利息が、手数料を払って一括返済すれば払わずに済むお金です。

つまり判断はこうなります。一部繰り上げにした場合の残りの利息が、一括返済の手数料を上回るなら一括返済が得。下回るなら一部繰り上げが得です。

完済間近のローンでは、この利息は驚くほど小さくなります。残高が減っているうえ、残り期間も短いためです。たとえば残高が100万円を切り、完済まで1年ほどしかないケースだと、金利1%台でも残りの利息は数千円程度にとどまることがあります。ここが「あと少しだから全部返してしまえ」という直感が、必ずしも得にならない理由です。

ただし、これは完済間近だから成り立つ話です。残高が大きい、あるいは残り期間が長ければ、残りの利息は一括返済の手数料をあっさり上回ります。金利1.325%・元利均等返済で私が概算すると、目安は次のようになりました。

残高・残り期間 残り期間の利息(概算) 一括返済の手数料22,000円との比較
88.4万円・約1年(私のケース) 約6,800円 一部繰り上げの方が得
100万円・3年 約20,600円 ほぼ同じ
200万円・2年 約27,700円 一括返済の方が得
300万円・3年 約61,700円 一括返済の方が得

※ 金利1.325%・元利均等返済・期間短縮型という前提で私が計算した概算です。銀行の正式な償還予定表ではありません。一括返済の手数料も銀行によって異なります。

私のケースは表の一番上の行にあたります。あなたの残高と残り期間が下の行に近いなら、この記事の結論はそのままは当てはまりません。その場合は、手数料を払ってでも一括で返した方が得になります。

あなたは保証料型?事務手数料型?

もう一つ、完済時の損得に関わるのが、借入時の保証の付け方です。住宅ローンには大きく分けて、借入時に保証料を一括前払いする「保証料型」と、借入時に融資額に応じた手数料を払う「事務手数料型(融資手数料型)」があります(ほかに、保証料を金利に上乗せして分割で払うタイプもあります)。

住宅ローンの保証料型と事務手数料型の対比図。保証料型は借入時に保証料を一括で前払いし、繰り上げ返済で期間が短くなると払いすぎた分の一部が戻ることがある(返還あり)。事務手数料型は借入時に融資額に応じた手数料を払い、期間が短くなっても手数料は戻らない(返還なし)。どちらの型でも「一括返済か一部か」の損得の向きは変わらない

保証料型で前払いした人は、繰り上げ返済で期間が短くなると、払いすぎた保証料の一部が戻ってくることがあります(事務手数料型には返還はありません)。ただし、この返還額の有無は損得の方向を変えるものではないので、まずは前述の2つのポイント(一括返済の手数料と、残高を残した場合の利息)で判断すれば十分です。次章の実例で、実際の数字を当てはめてみます。

【実例】2012年・りそな銀行2,500万円で試算してみた

ここからは私自身のケースです。2012年にりそな銀行で2,500万円を変動金利で借り、住宅ローン控除も10年で終わりました。完済が視界に入ったいま、実際に数字を並べて「全額か一部か」を判断しました。

金利の推移(変動金利)

私のローンは変動金利で、借入からの金利は次のように動いてきました。

時期 適用金利(変動)
借入当初 0.775%
2024年4月(金利交渉後) 0.675%
その約半年後(利上げ) 0.775%に戻る
2025年中 1.075%
2026年6月から 1.325%

2024年4月に金利引き下げ交渉をして0.675%まで下げられたものの、その約半年後の利上げ局面で押し戻され、いまは1.325%まで上がっています。金利が上がるほど「早く返してしまいたい」という気持ちは強くなりました。

※変動金利は、日銀の利上げが決まってから実際の適用金利に反映されるまで数カ月のタイムラグがあります。2026年6月からの1.325%も、同月の利上げではなく、それ以前の利上げ分が反映されたものです。

住宅ローン控除が残っているなら、先に確認すること

私は住宅ローン控除が10年で終わっているため、この論点はありませんでした。ただし控除期間中の人にとっては、「全額か一部か」の判断そのものが変わります。

控除額は年末時点のローン残高をもとに計算されるので、年内に全額返して残高をゼロにすると、その年の控除もなくなります。残高を残せば、その残高分の控除は残ります。

もう一つ、見落とすと影響が大きい条件があります。住宅ローン控除は「償還期間10年以上」が要件で、この期間は繰り上げ返済後の償還期間で判定されるため、繰り上げによって最初の返済月から完済月までが10年未満になると、その年以後は控除を受けられなくなります(国税庁の質疑応答事例。出典は記事末尾)。控除期間中に大きく繰り上げるなら、返済後の完済月がいつになるかを先に確認してください。

一括返済(全額繰上返済)の手数料は22,000円

そこで、一括返済した場合の手数料を調べました。りそな銀行の場合、一括返済(同行の表記では「全額繰上返済」)にかかる費用は、銀行の手数料11,000円と保証会社の事務手数料11,000円の合計22,000円でした。金額の出典は記事末尾にまとめています。

一方、ネットバンキング経由の一部繰り上げ返済は手数料が無料です。つまり同じ「繰り上げ返済」でも、全部返して終わらせるか、少し残して続けるかで、かかるコストが22,000円も違うということです。

なお、りそな銀行の場合、一括返済はインターネットでは手続きできず、店頭またはテレビ電話での手続きになります。手間の面でも、ネットで完結する一部繰り上げ返済とは差がありました。

保証料型なら保証料の一部返還もある

私の契約は保証料型で、借入時に保証料を一括で前払いしていました。前述のとおり、この型なら繰り上げ返済で期間が短くなった分の保証料が一部戻ってくることがあります。

もっとも、この返還額は契約によって変わるうえ、一括返済でも一部繰り上げ返済でも「どちらが得か」の比較には直接影響しないので、今回の判断からは切り離して考えました。

残り約1年、100万円弱を残して一部繰り上げにした理由

2026年7月、まとまった資金で繰り上げ返済をすることにしました(繰り上げ返済自体は2025年にも一度実施しています)。このとき目の前にあった選択肢は2つです。

  • 一括返済:残高をゼロにしてローンを終わらせる。ただし手数料22,000円がかかる
  • 一部繰り上げ返済:まとまった額だけを返し、少額の残高を残す。手数料は無料

私が一部繰り上げを選んだ場合に残る残高は88.4万円、完済期日は2027年8月27日で残り約1年。方式は完済を早める「期間短縮型」です。ちなみに「100万円弱を残す」という金額そのものに意味はありません。きりよく百万円単位で返済した結果、たまたま残ったのがこの金額でした。

ここで、この残高を完済まで持ち切った場合の残りの利息を概算してみます。

※以下は銀行の正式な償還予定表ではなく、こちらで行った概算です。前提は「残高88.4万円・適用金利1.325%・2027年8月完済・元利均等返済」。この前提で計算すると、残り期間で支払う利息は約7,000円です。

つまり、一括返済して払わずに済む利息は、この約7,000円だけ。それなのに、一括返済の手数料は22,000円かかります。一括返済を選ぶと、約7,000円の利息を払わずに済ませるために22,000円を払う=差し引き約15,000円の持ち出しになる計算です。

だから私は、全額ではなく一部繰り上げ返済を選びました。手数料はゼロ、残りの利息もわずか。完済まで持ち切っても、22,000円を払って早く終わらせるより得だと判断したわけです。

筆者の実例(残高88.4万円・変動金利1.325%・完済まで約1年・りそな銀行)の費用対比図。一括返済は手数料22,000円+この先払う利息0円で合計22,000円、一部繰り上げ返済は手数料0円+この先払う利息約7,000円で合計約7,000円。その差は約15,000円で、筆者は一部繰り上げ返済を選択した

団信について

一つ補足すると、ローンを残すと団体信用生命保険(団信)も残ります。ここで大事なのは、団信で消える保障の大きさは、そのときのローン残高そのものだということです。私の88.4万円と、残高が数百万円ある人とでは、同じ「団信がなくなる」でも重みがまるで違います。

私の場合は、預貯金の増加・遺族年金・その他加入している保険・勤務先からの支給・現在の資産額をひととおり確認しました。そのうえで、団信がなくなっても遺された家族の生活は成り立つと試算できたので、団信は手放してよいと判断しました。なお、実際には少しだけ残高を残していますが、それは手数料の比較でそうしただけで、団信を残したかったからではありません。

逆に「団信がなくなると保障が足りない」という場合でも、足りない分だけ掛け捨ての生命保険で補うという考え方があります。繰り上げ返済で軽くなる利息と保険料を見比べて、保険料の方が安ければ「繰り上げ返済+掛け捨て保険」という組み合わせも選択肢になります。我が家でも繰り上げ返済にあたって、この比較は検討しました。ここは家庭ごとに事情が違うので、各自で確認してほしい点です。

団信で消える保障の大きさがローン残高そのものであることを示す図。残高88.4万円(筆者のケース。手放しても影響は小さい)・500万円(まとまった死亡保障を1本手放すのと同じ規模)・1,000万円(家計の設計を組み直す必要が出る規模)を、金額に比例した長さの横棒で比較。あわせて団信がなくなっても家族の生活が成り立つか確認する4項目(預貯金・遺族年金・加入中の保険・勤務先からの支給)を示す

この資金を投資に回さなかった理由

今回の判断にあたっては、配偶者とも話し合い、この資金は投資に回すのではなく返済に充てることにしました。投資と返済のどちらを取るかという判断軸そのものは、別記事「繰り上げ返済と投資どっち?配当で住宅ローンを賄えるか金融SEが試算 」で整理しています。

自分の数字で計算してみる(チェックリスト)

ここまでは私の実例でしたが、同じ判断はあなた自身のローンでもできます。特別なツールは要りません。必要なのは次の6項目で、いずれも銀行の情報か契約書から確認できます。

  • 現在のローン残高:ネットバンキングの残高照会で分かります
  • 適用中の金利:変動金利なら現在の適用金利。半年ごとに見直されるので最新の数字を確認します
  • 返済予定表(償還予定表):契約時にもらった書類か、ネットバンキングで確認できます。完済期日と、残り期間に払う利息の合計がここで分かります
  • 一括返済(全額繰上返済)の手数料:契約書に記載されているほか、銀行公式サイトの手数料一覧でも調べられます。一部繰り上げと金額が違うことが多く、保証会社の事務手数料が別途かかる場合もあります
  • 保証料の返還の有無と扱い:これも契約内容の一部です。契約書や公式サイトで、自分の契約が保証料型か事務手数料型かを確認します。返還がある場合でも判断の方向は変わりませんが、気になるなら見ておくと安心です
  • 住宅ローン控除の残り年数:控除期間中なら、全額返して年末残高をゼロにすると、その年の控除もなくなります。繰り上げ後の完済月が「最初の返済月から10年未満」にならないかも、あわせて確認します

一括返済か一部繰り上げ返済かを自分で判断するためにそろえる6項目のチェックリスト図。①現在のローン残高②適用中の金利③返済予定表(償還予定表)は銀行で確認でき、④一括返済の手数料⑤保証料の返還の有無⑥住宅ローン控除の残り年数は契約書や公式サイト、年末調整・確定申告の書類で確認する。この6項目がそろえば「残高を残した場合に払う利息」と「一括返済の手数料」を並べて判断できる

返済予定表があれば、残り利息の合計はそのまま読み取れます。手元になければ、前述のように「残高×金利×残り期間」でおおまかな概算はできます。

手数料や保証料の扱いは、本来どれも契約書に書かれている内容です。まずは契約書と銀行公式サイトで調べてください。読み取りに不安が残る場合や「完済時に総額でいくらかかるか」を確定させたい場合に、念のため電話や窓口で銀行に確認する——という順番で十分です。

この6項目がそろえば、「残高を残した場合に払う利息」と「一括返済の手数料」を並べて、一括か一部かを自分で判断できます。

残高を「気にしない」ためにやったこと——別口座管理

「損得では一部繰り上げが正しくても、残高が残るのが気持ち悪い」——この感覚は私にもよく分かります。そこで役立ったのが、口座を分けて管理する工夫です。

私にとって、りそな銀行はメインバンクではなく住宅ローン専用の口座という位置づけです。ローン返済用の資金を普通預金に置いているだけなので、頭の中で「りそなの残高=住宅ローン関連」と切り離して考えられます。日常の家計やメインの資産とは別勘定にしておくイメージです。

ふだんの家計・メインの資産(毎月の生活費・投資に回すお金・日常的に見る口座)と、住宅ローン専用口座(返済用の資金だけを置く・残高=住宅ローン関連と割り切る・ふだんは見に行かない)を点線で仕切って分けた図。残高が100万円レベルまで減れば「あと少しで終わる、専用口座の中の話」と割り切れる

正直に言うと、残高が大きいうちは多少気になりました。ただ、残高が100万円レベルまで減ってしまえば、ほとんど気になりません。「あと少しで終わる、専用口座の中の話」と割り切れるからです。金額の大小で心理的な負担は変わります。残高が減った段階なら、無理に手数料を払って完済しなくても気持ちよく持ち切れると感じています。

まとめ

金利上昇の中で「全額返してスッキリしたい」と思ったとき、それでも私が一部繰り上げ返済を選んだ理由を、実例で見てきました。要点は次の通りです。

  • 判断に必要な数字は2つだけ。一括返済にかかる手数料と、一部だけ返した場合にこの先払う利息
  • 私のケースでは、残高を残した場合の利息は概算で約7,000円。対して一括返済の手数料は22,000円(りそな銀行の例)
  • 約7,000円の利息を払わずに済ませるために22,000円払うのは損。だから100万円弱を残して一部繰り上げ返済にした
  • 残高が残る気持ち悪さは、ローン専用口座に分けて「切り離す」ことで和らげられる

完済間近のローンほど、残る利息は小さく、一括返済の手数料が相対的に重くなります。まずは契約書や借入先の公式サイトで「一括返済(全額繰上返済)の手数料は総額いくらか」を調べてください。そのうえで返済予定表を開いて「残り利息の合計」を確認してみてください。この2つを並べるだけで、一括か一部かの答えは見えてきます。

ご自身のライフプランに合わせて判断してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 一部繰り上げ返済と一括返済、どちらが得ですか?

ケースによります。判断の基準は「一括返済にかかる手数料」と「一部だけ返して残高を残した場合に、この先払う利息」の比較です。完済間近で残りの利息が手数料より小さいなら、一括返済せず一部繰り上げにした方が得になります。筆者の例では残りの利息が約7,000円、一括返済の手数料が22,000円だったため、一部繰り上げを選びました。

Q. 繰り上げ返済の手数料はいくらですか?

銀行や返済方法で異なります。ネットバンキング経由の一部繰り上げ返済は無料の銀行が多い一方、一括返済(全額繰上返済)には手数料がかかることがあります。筆者のりそな銀行の例では、銀行の手数料11,000円と保証会社の事務手数料11,000円で合計22,000円でした。必ずご自身の借入先で確認してください。

Q. 保証料は繰り上げ返済で戻ってきますか?

契約が保証料型(借入時に保証料を一括前払い)なら、繰り上げ返済で期間が短くなると保証料の一部が返還されることがあります。事務手数料型には返還はありません。返還額は契約により異なりますが、「一括か一部か」の損得比較には直接影響しないため、まずは一括返済の手数料と、残高を残した場合の利息で判断すれば十分です。

Q. 一括返済すると団信(団体信用生命保険)はどうなりますか?

ローンを完済すると団信の保障もなくなります。残高を残すか一括で返すかは、預貯金・遺族年金・他の保険・資産額などを確認し、団信がなくなっても家族の生活が成り立つかを見て判断するのがおすすめです。保障が足りない場合は、足りない分を掛け捨ての生命保険で補い、繰り上げ返済で軽くなる利息と保険料を比較する方法もあります。家庭ごとに事情が違うため、一律の正解はありません。

Q. 残り期間の利息はどうやって計算しますか?

正確には銀行の返済予定表(償還予定表)で確認できます。手元になければ「残高×金利×残り期間」でおおまかな概算が可能です。筆者の例では、残高88.4万円・金利1.325%・完済まで約1年(元利均等)の前提で、残り利息は約7,000円という概算になりました。

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参考文献・出典